
【前編】『スケスケ展2』の裏側までスケスケにしてみた!企画・制作の舞台裏を大公開
2026年7月18日からFUJIなごや科学館(名古屋市科学館)で開催中の『スケスケ展2』。
KOO-KIが前作に引き続き、企画・制作に携わっている、様々な生き物や物体の中身を「スケる(透ける)」を通して紹介する展覧会です。
その前身となる『スケスケ展』が誕生したのは2018年。福岡市科学館での開催を皮切りに、全国13ヶ所を巡回し、総来場者数は約40万人を記録しました。
そして、福岡発の展覧会は、なぜ全国へ広がり、約8年後に『スケスケ展2』へと進化したのでしょうか?
そこで今回は『スケスケ展』誕生のきっかけから、『スケスケ展2』へと進化していった舞台裏まで、普段はなかなか見えない“企画・制作の裏側”までスケスケにしていきます!
※この記事は、KOO-KIの企業Podcast「ケイシャのしゃべり場」に『スケスケ展』の立ち上げメンバーであるKOO-KI 白川東一 と 小澤利男をゲストに迎えた際のお話と、収録後の取材で得た情報・写真をもとにお届けします。
🎙️KOO-KIの企業Podcast「ケイシャのしゃべり場」
映像制作会社KOO-KIの山内香里、泥谷清美、原山大輝がMCを務める雑談番組。毎回個性豊かな社内外のゲストを迎え、隔週で配信しています。
今回は、2026年8月7日・8月14日・8月21日配信の「スケスケ展回」#209〜#211 (2026年7月28日収録)をもとにお届けします。
「音声で聴きたい!」という方は、Spotifyからぜひ👇
ゲスト:KOO-KI Director白川東一&Producer小澤利男
(聞き手:山内/ヒージャー/原山)
『スケスケ展2』設営時の様子。写真左上から反時計回りにKOO-KI 小澤利男、白川東一、古城戸利香。そして、今回から企画に関わってくださったanno labの井原 正裕さん。
そもそも『スケスケ展』は、どうやって生まれた?
そもそも『スケスケ展』は福岡市科学館が開館して初めて迎える夏休みの企画展について、西日本新聞社さんからKOO-KI小澤に相談があったことが始まりでした。
せっかく新しくできた福岡市科学館で開催するなら、ありふれたテーマではなく、福岡発オリジナル企画展をつくりましょうと話し合い、西日本新聞社さんが持っていた、九州大学保管の動物の骨格標本というネタに着目しました。
「普段見ている生き物も、実は骨だけにすると、また違った視点が生まれてきそう!」。
骨を中心とした展覧会は面白いかもしれないと考え、最初に生まれた企画が『スケスケ動物園』でした。
そこから「スケスケ」という発想を動物だけでなく、人間や身の回りのモノへと広げていき、現在の『スケスケ展』へと発展していきました。
◾️スケスケ展の舞台裏①「何だそれ?」と思わせるネーミング
『スケスケ展』…。展覧会としては、なかなか攻めた名前です。
企画したプロデューサー・小澤利男も、ちょっと意味深に聞こえることまで狙って、この名前を提案したそう。
狙いは、「何の展覧会かよく分からない。だから逆に気になる」という引っかかりをつくることでした。
とはいえ、会場は市の施設である福岡市科学館。当然ながら、この一風変わったネーミングを実現するまでには、ひと筋縄ではいきませんでした。
「タイトルは変わっていても、中身にはしっかりとした意義がある」
企画のコンセプトを丁寧に説明し、最終的には『スケスケ展』という名前で開催できることに。
結果として、この一度聞いたら忘れにくい名前は、『スケスケ展』が多くの人に知られていくうえで、大きな武器のひとつになりました。
ちなみに『スケスケ展2』@名古屋は、開幕からわずか27日目で来場者5万人を突破しました🎉
◾️スケスケ展の舞台裏② 「中はどうなってる?」世代を超える普遍的なコンセプト
『スケスケ展』には、名前の面白さだけではない、大切なコンセプトがあります。
近年、身の回りの製品が高度化し、ボタンひとつでさまざまなことができる一方、その中で何が起きているのかは見えにくくなっています。
「そもそも今の子どもたちは、さまざまな生き物や物の中身がどうなっているのか、興味を持つ機会が減っているのではないか。」
だからこそ、デジタル技術を活用した「スケる(透ける)」をはじめ、断面展示や映像コンテンツを通じて「これ、中はどうなってるんだろう?」という普段は意識しない内部構造や「仕組み」に目を向けるきっかけを生み、素朴な好奇心を、体験を通して呼び起こしたい。
そして、このコンセプトが面白いのは、子どもだけに向けたものではないところ。
子どもにとっては、目の前のものがスケること自体が楽しい。
一方、大人は「これ、どうなっているか知ってる?」と子どもに教えたくなったり、自分自身が知らなかった仕組みに驚いたりする。親子で同じ展示を見ながら、それぞれ違った角度から楽しめる。
そんな設計も、『スケスケ展』が幅広い世代に受け入れられた理由のひとつなのかもしれません。
そしてこの「スケる(透ける)=仕組みを知る」という普遍的なコンセプトだったからこそ、最初の開催から約8年が経った『スケスケ展2』にもしっかりと受け継ぐことができたのです。

『スケスケ展2』では親世代には懐かしい、「レコードプレイヤー」や「カセットテープ」の展示もあります。懐かしい機械の前で、親が子どもにちょっとだけ先輩風を吹かせられるかも?
◾️スケスケ展の舞台裏③ 全国13ヶ所への巡回は、実は想定外!?
2018年、福岡市科学館からスタートした『スケスケ展』は、その後、2023年までの約5年間で全国13ヶ所を巡回することになります。
ところが、最初から全国巡回を狙ってつくられた展覧会ではありませんでした。
もともとは、福岡市科学館で一度だけ開催する企画として制作されたもの。
開催後、多くのお客さんが訪れたことをきっかけに、各地から「うちでも開催したい」という声が届くようになりました。
そこで初めて、「福岡だけで終わらせるのは、もったいないかもしれない」と全国巡回を検討することに。
しかし、一度きりの開催を前提につくられた展示です。
骨格標本など、壊れやすい展示物をどう運ぶ⁉️
会場ごとに広さが違うから、展示物を別の会場にそのまま持っていけない‼️など
巡回するためにつくられていない展示物を巡回させるという、新たな課題が次々と出てきました。
それでも全国へと広がり、最終的には約40万人が体験する展覧会へ。『スケスケ展』は、企画した本人たちの想像を超えて育っていったのです。

そして、現在開催中の『スケスケ展2』は、前作から一体何がスケールアップしたのか⁉️
ここからは、新しく加わったコンテンツを一部紹介しながら、企画展の裏側まで紹介していきます‼️
『スケスケ展2』は前作とどう違うの?企画の裏側もスケスケに!
前作の開催から約8年。『スケスケ展2』が動き出すきっかけとなったのは、東海テレビ放送さんからの「『スケスケ展2』をやりませんか?」というお声がけでした。
東海テレビ放送さんは、前作の『スケスケ展』で約9万人と最大規模の来場者数を記録した、名古屋市科学館での開催にも主催者として関わっていました。前作でのKOO-KIの企画・制作や、科学館との親和性の高さを評価していただき、続編のお話をいただいたことから『スケスケ展2』の企画がスタートしました。
そして今回は、東海テレビ放送さんに加え、KOO-KIも出資者としても参加。企画展への出資は、KOO-KIとして初めての試みです。前作以上に企画の初期段階から深く関わりながら、新たな『スケスケ展』をつくっていくことになりました。
では、『スケスケ展2』は前作からどんな進化を遂げたのか?
すべてのコンテンツを紹介すると、とてもここには収まりきらないので、ここからは注目の新コンテンツや人気コンテンツをピックアップし、その企画意図や制作の裏側とともに紹介していきます!
◾️前作にはなかった新コーナー「しぜんスケスケ」とは?
『スケスケ展2』では、前作にはなかった2つのコーナーが新たに加わりました。
ひとつは、「もっと地球規模のスケスケをやってみよう!」という発想から生まれた「しぜんスケスケ」。
その中にもいくつかコンテンツがあり、特に人気なのが、「かいていスケスケ」。
巨大な海底地形図の上に乗り、赤青メガネ(アナグリフメガネ)をかけてのぞいてみると、日本周辺の海底地形が立体的に浮かび上がります。
普段は海に覆われていて意識することのない、海底の深さや高低差。海を“スケスケ”にしてみることで、日本のすぐそばにこんなにも切り立った地形が広がっていることを、体感することができます。
実は、この「大型3D海底地形図」は海上保安庁さんからお借りしたデータを出力したもの。海上保安庁さんが長年にわたって収集・蓄積してきた海洋データをもとに作成されているため、その地形はとってもリアル!実際に体験したみなさんも、その迫力に驚かれている様子でした
◾️もうひとつの新コーナー「みえないスケスケ」とは?
「見えないものをスケさせてやろう!」という、ちょっと逆説的な発想から誕生したのが「みえないスケスケ」です。
実は私たちの身の回りには、人の目には見えない光がたくさん存在しています。
たとえば、除菌などにも使われる「紫外線」や、自動ドアやゲーム機などにも使われている「赤外線」。普段は目にすることができなくても、実は暮らしのさまざまなところで活躍しているんです。
「みえないスケスケ」では、そんな身近にある“見えない光”を、実際に体験しながら知ることができるコンテンツを用意しています。
たとえばこちらは、紫外線ライト(ブラックライト)と、さまざまな国の紙幣や封筒が置かれたコーナー。

実は紙幣にブラックライトを当てると、偽造防止などに使われている特殊なインクが光り、普段は見えない模様が浮かび上がります!
では、封筒にブラックライトを当てると、一体何が浮かび上がるのでしょうか😏
その答えは、ぜひ会場でご自身の目でお確かめください👀
◾️映えコンテンツもスケスケ〜!
映像クリエイティブ集団のKOO-KIがやるからには、ちょっとアートなコンテンツも欲しい!
そんな思いから『スケスケ展2』で新たに加わったのが、車をまるごとCTスキャンしたデータから生まれた「のりものスケスケ」です。
前作の『スケスケ展』で出会ったCPE技術研究組合さんから、ドイツのフラウンホーファー研究機構が開発した世界最大級のX線CT装置で、車1台をまるごとスキャンしたデータがあることを教えていただき、「このデータを『スケスケ展』で使えないか?」とお話をいただいたのが始まりです。
そこで、企画・制作を担当した白川が、「車の断面データをアクリル板に一枚ずつプリントして重ねれば、立体的な車に見えるはずだ!」と提案。ここから「のりものスケスケ」の企画が動き出しました。
そして後日、実際のCTスキャンデータがKOO-KIに届き、いざ見てみると、そのデータが想像以上にスゴかった!

車をあらゆる角度から、さらには輪切りにするように内部まで見ることができ、一見するとまるでCGのよう。しかし、実物をスキャンしているからこその圧倒的な情報量と生々しさがあります。
普段から数々の映像を見ているKOO-KIの映像クリエイターたちからも、「こんな映像、見たことない!」と、どよめきが起こったほど。
ところが、実寸大に印刷したアクリル板をつくろうとすると、巡回する前提で強度の面も考慮すると、なんとアクリル板1枚だけで40〜50kgになることが判明。これでは設営も、全国巡回も現実的ではありません。
そこで、泣く泣く当初の構想からサイズやアクリル板の枚数を調整することになりました。
さらに制作を進める中で、プリントではなくCTデータをレーザーで刻印し、下から光を当てて浮かび上がらせる方法を模索していきました。

KOO-KI福岡オフィスで刻印したアクリルに光を当てた様子を検証している写真。左から、『スケスケ展2』の制作進行をブンブン回す古城戸、ことあるごとにスケスケ展をサポートしてくれているKOO-KI石井・川本、ONEXの海住さん。
こうして試行錯誤の末、何枚もの透明なアクリル板を重ねることで、車の内部構造が立体的に浮かび上がる「のりものスケスケ」が完成しました👏
ぜひ会場で、見慣れたはずの車の、見たことのない一面を体感してみてください!
◾️公式グッズにも「スケスケ」を仕込んでみた!
前作の『スケスケ展』では、KOO-KIはグッズ制作には全く関わっていませんでした。しかし、全国13ヶ所を巡回する中で、各会場が独自に制作したグッズが想像以上に売れることを知り、『スケスケ展2』では、KOO-KIでも初めて公式オリジナルグッズをつくることに!
中でも、「これは絶対につくらないと!」と考えていたのが、展覧会のパンフレットでした。
ところが、パンフレットの制作を始めようとした時点では、まだ展示コンテンツが完成しておらず、当然ながら掲載できる写真もありません。
「だったら、普通のパンフレットじゃなくて、来場した人が持ち帰って楽しめる“絵本”にしよう!」
そんなDirector白川 東一の発想から生まれたのが、『スケスケ展2』公式ブックです。
イラストを手がけたのは、絵本作家の楓さん。白川東一が企画・演出を手がけた完全オリジナルストーリー「ぴったんこ! -太陽先生とぴったんこ!-」でもご一緒したクリエイターさんです。
今回は、可愛いオリジナルキャラクターの「スケスケくん」が、いろいろな場所を巡りながら“スケスケ”を体験していく物語になっています。
もちろん、KOO-KIが手がけるわけですから、ただの公式ブックではありません‼️
ページの裏からライトを当てると、隠れていたものがスケて見える仕掛けも!
そして巻末には公式らしく各コーナーの紹介もしっかり掲載しています。
会場を訪れた際は、展示はもちろん、グッズに隠された“スケスケ”にも注目してみてくださいね!
白川東一が着用しているTシャツも『スケスケ展2』のオリジナルグッズです。

(注)上記写真のグッズはFUJIなごや科学館(名古屋市科学館)でのみ販売されている商品です。巡回展の会場によって、グッズは若干異なりますので、あらかじめご了承ください。
さて、今回は『スケスケ展』のはじまりから、『スケスケ展2』の前作との違いをざっくりご紹介してきました。
では、こうした子どもも大人も夢中にさせる企画は、一体どんな人たちが、どうやって考えているのでしょうか?
後編では、『スケスケ展2』の企画・制作に携わったKOO-KIスタッフにフォーカス!映像制作を本業とするクリエイターたちが、なぜ企画展をつくることになったのか。制作中にぶつかった壁や、「推しスケスケ」まで、さらにその頭の中をスケスケにしていきます!
(後編に続きます↗︎)