KOO-KI TOPICS - 【後編】子どもも大人も夢中にさせる『スケスケ展2』!制作陣もスケスケにしてみた!

【後編】子どもも大人も夢中にさせる『スケスケ展2』!制作陣もスケスケにしてみた!

いよいよ後編は、そもそも「子どもも大人も夢中にさせる企画」って、
一体どんな人たちが、どんな風に考えて、どうやって形にしていったの?
という疑問にお答えするべく、『スケスケ展2』の企画・制作に携わったKOO-KIスタッフにフォーカスしていきたいと思います‼️

(『スケスケ展』誕生のきっかけから、『スケスケ展2』へと進化していった舞台裏までに焦点を当てた前編はコチラ↗︎をご覧ください。)

後編では、『スケスケ展2』に関わったKOO-KIって、そもそも映像制作会社ですが、
☑️普段どんな映像を作っているの?
☑️『スケスケ展2』ではどの部分を担当したの?
☑️「推しスケスケ」は?
☑️制作中にぶつかった壁は?
など、制作者たちの頭の中までスケスケにしていきたいと思います💪

『スケスケ展2』の制作陣もスケスケ〜!

まずは、『スケスケ展』の企画・演出を担当したKOO-KI Director 白川 東一の頭の中をのぞいていきましょう!

◾️Director 白川 東一 ってどんな人?

普段は主に、TVCMやゲームオープニングなど、数多くの映像作品を演出しています。作品によっては企画からアニメーション制作まで、自ら手を動かして仕上げることも。知育アプリ「タッチカード」などのアプリ開発も手がけるほか、『スケスケ展』などのインタラクティブコンテンツの企画・制作にも携わっています。

【代表作】
🎥 コナミ パワプロシリーズOP企画・演出
🎥  Dole Japan「もったいないバナナSTORY」 アニメーションディレクター・キャラクターデザイン
🎥 映画「ルパン三世 THE FIRST」OP企画・演出
▶️白川 東一の最新WORKS


◾️『スケスケ展2』での役割は、コンテンツの企画・演出・制作。

『スケスケ展2』では、白川が全体のコンセプトを発案。各コーナーの構成から、それぞれのコンテンツの中身や見せ方まで、企画・演出の中心を担っています。


◾️実はこんな案もあった!? 幻のアイデア

『スケスケ展2』では、アイデアは生まれたものの、惜しくも実現しなかったものもたくさんあったそう。
そのひとつが、スモークとレーザーを使ったエントランス演出です。

白川が考えていたのは、会場の入口にうっすらとスモークを漂わせ、そこにレーザーを照射することで、空間に「光の壁」を出現させるというもの。

その光の壁を来場者が通り抜けることで、まるで日常から「スケスケ」の世界へ入り込んでいくような、近未来的なエントランスをつくろうと考えていました。
ところが、実際にテストしてみると大きな問題が……。

スモークが、思ったように留まってくれない!

空間にスモークを均等に漂わせることは想像以上に難しく、さらに実際の会場には空調による空気の流れもあります。安定した展示として成立させるのは難しいと判断し、このアイデアは泣く泣く断念することになりました。

しかし、「空間全体のスモークを制御できないなら、スモークを閉じ込めてしまえばいい」という発想から、最終的にはスモークを筐体の中に閉じ込め、そこへ映像を投影するコンテンツへと形を変えて実現しました。

それがこの「ひかりスケスケ」です。
スモークの漂う空間に映像を投影することで、
正面だけでなく横からものぞくことができ、虹の光を立体的に楽しめるコンテンツになりました。

アイデアを思いついて終わりではなく、実際に試して、失敗して、また別の方法を考える。

完成した展示からはなかなか見えませんが、こうした試行錯誤の積み重ねによって、『スケスケ展2』のコンテンツはつくられているのです。

そしてここで、白川が最初に描いていたコーナースケッチを一部ご紹介!
よく見ると、この最初の構想スケッチから実際に採用されたのは、「くらしスケスケ」のくるまと「しぜんスケスケ」の壁面のアイディアくらい。ほかのコンテンツは、テストや検証を重ねる中で少しずつ形を変えていったり、中には残念ながらボツになったアイデアもあります。
ぜひ、右側にある実際の展示写真と見比べてみてください👀

また、ここで紹介したスケッチはほんの一部にすぎません‼️実際には、こうしたアイデア出しや検証を何度も何度も重ねながら、現在の『スケスケ展2』が形作られていったのです。

◾️白川東一の「推しスケスケ」:「じぶんスケスケ」

そんな白川に『スケスケ展2』の中で一番の「推しスケスケ」を聞いてみると、選んだのは「じぶんスケスケ」でした。
前作で人気だった「にんげんスケスケ」は、スクリーンの前に立つと、自分の動きと連動するスケた体が映し出され、骨や筋肉の様子を体を動かしながら観察するというものでした。ただ、前作の巡回を重ねる中で、スクリーンの前に立つことを恥ずかしがってしまう子どもたちもいたそうです。

そこで今回は、体を動かせば動かすほど、映し出された自分の姿がどんどんスケていく「じぶんスケスケ」へと進化。

隣の人と競いながら「スケスケ度100%」を目指すゲーム性も加わり、思わず体を動かしたくなるコンテンツに改良されました。
そして白川が「じぶんスケスケ」を推す理由は、コンテンツ単体の面白さだけではありません。

実は、展覧会全体のテンションをつくるための仕掛けでもあるのです。

「僕の中では、一発目のコンテンツでお客さんの心拍数を上げたい。あそこで息を切らして、テンションを上げた状態で次のコンテンツを見てほしいんです。」

だからこそ、「じぶんスケスケ」は会場の序盤に配置されています。

ひとつひとつのコンテンツを考えるだけでなく、来場者の気持ちが会場の中でどう動いていくのかまで設計する。映像で観客の感情の流れを組み立てるように、展覧会でも体験する人のテンションまで演出しているのかもしれません。

そんな白川の狙い通り、実際の会場で「じぶんスケスケ」は、子どもから大人まで夢中になって体を動かす姿を見ることができます👇
▶️東海テレビさんで『スケスケ展2』が取り上げられた際の子どもたちの様子をぜひご覧ください😆

 

つづいては、KOO-KI Producer 小澤 利男の頭の中をのぞいていきましょう!

◾️Producer 小澤 利男 ってどんな人?

普段は主に、大手企業のTVCMやプロモーションムービーなど、広告映像を手がけるプロデューサー。30年以上にわたる広告代理店でのキャリアとネットワークを生かし、クライアントとクリエイターの間に立ちながら、さまざまなプロジェクトを実現へと導いています。
広告映像だけでなく、映画ガチ星映画めんたいぴりりなど、映画のプロデュースも手がけています。

【代表作】
🎥大阪・関西万博にて2つのコンテンツのプロデュース
🎥Dole Japan「もったいないバナナSTORY」 プロデュース
🎥関門PRムービー「COME ON!関門!」プロデュース
▶️ 小澤 利男の最新WORKS

◾️『スケスケ展2』での役割は、企画全体のプロデューサー。

そもそも、福岡市科学館が開館して初めて迎える夏の企画展について、西日本新聞社から相談を受け、KOO-KIへ話を持ち帰ったのが小澤です。そして、『スケスケ展』というネーミングの生みの親でもあります。
『スケスケ展2』では、クリエイターたちから生まれたアイデアを企画書にまとめ、主催者へのプレゼンや予算面の調整など、企画全体のプロデュースを担当。
今回、最初の企画書を提案したのは2025年2月頃。そこから約1年半をかけ、さまざまな人たちと調整を重ねながら、2026年7月の開催まで漕ぎ着けました。

◾️アイデアは、毎週持ち寄っては試してボツ!? 『スケスケ展2』ができるまで

『スケスケ展2』にはさまざまな題材を使ったコンテンツがありますが、最初から「こうすれば展示になる」という正解があったわけではありません!

たとえば、「紫外線や赤外線という目に見えない光を、子どもたちに体感してもらいたい」というアイデアが生まれても、問題はそれをどうやって展示にするのかどんな素材や道具を組み合わせれば、目に見えない光の存在を分かりやすく伝えられるのか。

さらに企画展となれば、面白いだけでは成立しません。
壊れにくいこと。たくさんの来場者が繰り返し体験できること。そして、コストが現実的であること。

こうした条件をクリアしながら、世の中にあるものを探し、組み合わせ、ひとつの展示へと仕立てていく必要があります。

そこで制作チームでは、古城戸を中心に白川やanno labのみなさん、小澤らが、それぞれ調べたり試したりしたアイデアを毎週持ち寄ることに。

「これは面白い!」
「これは難しそう……」
「とりあえず試してみよう!」

そんなやり取りを繰り返しながら、ひとつひとつの可能性を探っていきました。

もちろん、その場で「いいね!」となったアイデアが、そのまま展示になるとは限りません。
実際に試してみると、思ったような結果にならなかったり、展示として安定して運用するのが難しかったり。前述したスモークのエントランス演出のように、テストまで進みながら泣く泣く断念したアイデアも山ほどありました。

「ないものを探してきて、出し物にしていく」。

小澤がPodcastで語ったこの言葉は、『スケスケ展2』の企画づくりをよく表しているのかもしれません。

ゼロからすべてを発明するのではなく、世の中にある技術やモノの中から「これ、スケスケ展で使えるかも?」を見つけ出し、何度も試しながら体験へと変えていく。

会場に並ぶひとつひとつの展示の裏には、採用されたアイデア以上に、たくさんの「うまくいかなかったアイデア」が隠れているのです。


◾️小澤 利男の「推しスケスケ」:「みえないスケスケ」

そんな小澤の「推しスケスケ」は、今回新たに加わった
「みえないスケスケ」
紫外線や赤外線など、普段は人間の目では見ることのできない光を、さまざまな体験を通して知ることができるコーナーです。
実はこの企画を考えるまで、小澤自身も紫外線や赤外線について知らないことがたくさんあったそう。
電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線などなど。こうして並べてみると、実はどれも「電磁波」の仲間だったんですね。

中でも、私たちが見ることのできる光の外側にある「赤外線」や「紫外線」は、身近なところでさまざまな使われ方をしています。


例えば、赤外線を利用した
サーモグラフィカメラ。「せきがいせんスケスケ(おんど)」では、目には見えない赤外線を捉えることで、物体の温度分布を色の違いとして見ることができます。
企画展が開催してみると、サーモグラフィーカメラに映し出される普段とは違う自分の姿に、子どもから大人まで夢中に!実はこのコーナー、想像以上の人気コーナーになっているそうです。

作り手自身も、知らなかったことを知って「面白い!」と思う。その驚きを、今度は来場者が体験できる形にする。

そんな『スケスケ展』らしい企画のつくり方が詰まった「みえないスケスケ」が、小澤の推しコンテンツです。

 

つづいては、KOO-KI PM 古城戸 利香の頭の中をスケスケにしていきましょう!

◾️Producer 古城戸 利香 ってどんな人?

普段は主に、白川東一が手がける映像作品の制作進行を担当。映像だけでなく、白川が企画・演出する知育アプリ「タッチカード」などのアプリ開発や、『スケスケ展』をはじめとするインタラクティブコンテンツでも制作進行を担っています。

【代表作】
🎥 「スケスケ展−スケると見える仕組みの世界−」制作
🎥 ミスターシェイプのアプリ 「タッチカード」制作
🎥「なんちょうなんなん」制作進行

◾️『スケスケ展2』での役割は、企画全体の制作進行。

前作『スケスケ展』から白川・小澤とともに企画に携わってきた古城戸。「こんな体験をつくりたい!」というアイデアを実際の展示として成立させるため、見せ方や形状はもちろん、耐久性や安全性、コスト、搬入・搬出のしやすさまで考えながら、さまざまなクリエイターや業者さんと細部を詰めていきます。

さらに『スケスケ展』は、一度つくって終わりではなく、全国各地を巡回していく企画展。会場が変わっても安全に設営でき、たくさんの来場者が何度触っても壊れにくく、運営する人たちにとっても扱いやすい展示にする必要があります。

面白いアイデアを、ちゃんと現実にする。

そのための細かな調整や段取りを担っているのが、古城戸です。実際、制作チームからも「古城戸の段取り力がなければ、この企画展は成立しなかったのでは!?」という声が上がるほど、『スケスケ展2』を裏側から支える重要人物なのです。



◾️子どもは大好き、でも運営側は大変⁉︎「スタンプラリー」の悩みを解消したアイデアとは?

そんな古城戸らしさがよく表れているのが、『スケスケ展2』の「スケスケクイズ」です。

企画当初から白川には、子どもたちに展示を楽しんでもらうだけでなく、すべての体験を終えたときに、『スケスケ展』ならではの視点を、お土産として持ち帰ってほしいという思いがありました。

そこで候補に上がったのが、子どもたちにも人気のスタンプラリー。
しかし、スタンプラリーは楽しい一方で、実際に運営するとなると意外と大変です。
インクがなくなれば補充が必要。スタンプを壁など別の場所に押してしまう可能性もあり、場合によってはスタッフを配置する必要も出てきます。

そこで今回はスタンプを集めるのではなく、各コーナーにクイズを用意し、展示を巡りながら答えを集めていく「クイズラリー」にすることに。

ところが、ここでまた新たな問題が。

「答えを、どうやって記録してもらう?」

鉛筆で書いてもらえば、鉛筆を大量に用意して管理しなければならない。ビンゴカードのように穴を開ける専用用紙も検討しましたが、今度は用紙の制作コストが上がってしまう。

できるだけコストを抑えたい。補充するものも減らしたい。ゴミも出したくない。そして、できればスタッフを配置しなくても運営できるようにしたい。
そんな数々の条件を前に、古城戸が見つけてきたのが……
「針なしホッチキス」でした!

針なしホッチキスなら、紙をパチンと挟むだけで穴を開けることができます。しかも今回使ったのは、ただ穴が開くだけではなく、矢印の形に穴を開けられるタイプ

クイズの答えだと思う選択肢を「パチン!」と挟んでいくだけなので、鉛筆もインクも必要なし。針を使わないので補充する必要がなく、ゴミも出ません。回答用紙も特殊な加工を施す必要がなく、通常の印刷でつくることができます。

さらに面白いのは、最後の答え合わせ。すべてのクイズに答えたら、穴を開けた回答用紙を出口にある答え合わせ用のシートと重ねます。全問正解していれば、開けた穴から正解の色が現れる!
文字を読んで一問ずつ答え合わせするのではなく、最後まで感覚的に楽しめる仕掛けになっています。

一見すると、とてもシンプルなアイデア。

でもその裏には、「楽しい」「安全」「低コスト」「補充不要」「ゴミが出ない」「運営しやすい」という、企画展を開催するうえでのさまざまな課題を一気に解決する工夫が隠されていました。

現場の困りごとを、ちょっとした発想で面白く解決する。
これもまた、『スケスケ展2』を裏側から支える古城戸の仕事なのです。

さて、ここからは企画チームからバトンタッチ!
『スケスケ展2』の各コンテンツには、KOO-KIが得意とするCG・映像技術もたっぷり使われています。

企画チームから飛び出した「こんなことできない?」を、実際に目で見て体験できるものへと変えていった映像クリエイターたち。一体どんな技術や工夫が隠されているのでしょうか?

まずは、CG Designer 山下 裕次郎の頭の中をのぞいていきましょう!

◾️CG Designer 山下 裕次郎 ってどんな人?

普段はTVCMやプロモーションムービーをはじめ、KOO-KIが手がける数多くの映像作品でCGを担当。自身がCG制作を手がけるだけでなく、作品全体のCG表現やクオリティを管理し、他のCGクリエイターたちを束ねるCG Supervisorとしても活躍しています。さらに活躍の場は映像だけにとどまらず、『スケスケ展』をはじめとするインタラクティブコンテンツにも参加。映像とリアルな空間を組み合わせたCG表現で、体験そのものをつくる役割も担っています。

【代表作】
🎥 パワフルプロ野球2026-2027 OP CG Superviser
🎥 Dole Japan「もったいないバナナSTORY」 3DCG
🎥映画「ルパン三世 THE FIRST」OP 3DCG


◾️『スケスケ展2』では、「どうぶつスケスケ」から立体造形まで!

前作『スケスケ展』からCG Designerとして参加している山下。『スケスケ展2』では、前作から引き続き、人気コンテンツ「どうぶつスケスケ」のCG映像を担当しました。「どうぶつスケスケ」は、最初モニター上に骨だけの動物(写真左)が右側から歩いて登場し、なんの動物かを当ててもらうクイズになっています。
そして、答えのシーン(右写真)では動物の実際の姿がスケスケな状態で現れ、のしのしと左側に歩いていくという映像になっています。
普段は見ることのできない、骨の動きを、動物の動きと重ねて観察できるコンテンツなんです!

前作では、映像の中の動物が実物の骨格標本と重なる演出になっていましたが、今回は大きくアップデート。骨格までCGで制作することになりました。

実物の骨格標本を使わないことで、展示できる動物の種類を広げられるだけでなく、貴重で壊れやすい骨格標本を全国の会場へ搬入・搬出する必要もなくなります。

つまりCGは、単に見た目をつくるためだけではなく、展示そのものの可能性を広げるためにも使われているのです。

そして山下の仕事は、スクリーンの中だけではありません。
実は、『スケスケ展2』のエントランスにある巨大な「スケスケくん」のモニュメントの透明な顔の制作にも関わっています。


この透明な顔は、山下の方で設計した3Dデータを、3Dプリンターで出力しています。照明を当てたときに透明なアクリルが美しく浮かび上がるよう、形状や厚みを細かく調整。すべてのパーツを3mmの厚さで出力できるようデータを設計しました。


ちなみにこの立体的な顔は、ちゃんと『スケスケ展2』の平面イラストをモデルにしているそう。目・口・鼻などがきちんと重なるように3Dデータを起こしているそうなので、ぜひ、エントランスの「スケスケくん」モニュメントをじっくり観察してみてくださいね👀

◾️CGなのに、骨と体がピッタリ合わない!?

そんな山下に『スケスケ展2』で最も苦労した点を尋ねてみたところ、少し苦戦したのは「どうぶつスケスケ」の制作で、動物の肉体と骨格の動きをピッタリ重ねることだったそう。

3DCGでキャラクターや動物を動かす際には、一般的に「ボーン」と呼ばれる、3Dモデルを動かすための骨組みのような仕組みを使います。
写真左の、動物の中心に配置されている白色や水色の三角錐のようなものが「ボーン」です。

通常、3DCG制作ではこの「ボーン」に3Dモデルを連動させることで、足を曲げたり、首を動かしたり、体をひねったりと、生き物らしい動きをつくっていきます。

ところが今回の「どうぶつスケスケ」では、肉体だけでなく、その内側にある骨まで同時に動かさなければなりません。しかも一部の動物では、前作で制作した肉体のアニメーションを生かしながら、今回新たにCG化した骨を組み合わせているため、そのままでは微妙なズレや隙間が発生。さらに、骨が透けた状態でアニメーションすると、ほんの少しのズレでも違和感として悪目立ちしてしまいます。

例えば、写真左を見ると、アシカのヒレのようなうしろ足の骨に、大きな隙間ができているのが分かります。こういった隙間も、写真右の修正版のように、骨同士の間隔を縮めつつ、肉体と骨が自然に重なって動いて見えるよう、ひとつひとつ細かく調整しています。

普段は決して同時に見ることのできない「動いている動物の外側と内側」を違和感なくひとつの映像として成立させるために、見えないところで細かなCG調整が重ねられているのです。

「どうぶつスケスケ」にこんなに地道な職人技が隠されていたとは!今回取材してみるまで全く気づきませんでした🙇‍♀️

 

続いて最後は、CG Designer 大窪 真悟の頭の中をのぞいていきます!

◾️CG Designer 大窪 真悟 ってどんな人?

普段は山下裕次郎と同様に、TVCMやプロモーションムービーをはじめ、KOO-KIが手がける数多くの映像作品でCGを担当。自身でCG制作を手がけるだけでなく、他のCGクリエイターたちを束ね、CG表現全体をディレクションするCG Directorとしても活躍しています。
実写とCGアニメーションを組み合わせた「もったいないバナナSTORY」 では、個性豊かなバナナたちの表情や動きを3DCGで制作。セリフのないバナナたちの繊細な感情を、表情や仕草だけで生き生きと描き出しました。

【代表作】
🎥パワフルプロ野球2026-2027 OP CG Director
🎥Dole Japan「もったいないバナナSTORY」 3DCG
🎥映画「ルパン三世 THE FIRST」OP 3DCG

◾️『スケスケ展2』では、「じめんスケスケ」のCG映像から立体造形の設計まで!

私たちが普段目にしている木。その足元を「スケスケ」にしてみると、地面の下には根が張り巡らされています。でも、根っこの役割は、植物を支えたり、水や栄養を吸収したりするだけではありません。実は根には「菌根菌」と呼ばれる菌が共生しており、菌糸を通じて土壌中にはネットワークが広がっているんだそう。

企画チームも「根っこの下をスケスケにしてみたら、面白いことがありそう!」と調べていく中で、こうした普段は目にすることのない地面の世界を知ったんだとか。そうして生まれたのが「じめんスケスケ」です。
会場では大きな木の幹がゆっくりと回転。その両サイドには、地面の下に広がる根や菌根菌の世界を表現した映像が流れています。このCG映像を手掛けたのが大窪なのですが、それに加えて中央にある木の幹の立体造形も、大窪が作った3Dデータから生まれています。

まず大窪が、写真左にある幹の3Dデータを作り、10cm幅で輪切りにした断面データを制作。それを造形作家さんへ渡し、データをもとに発泡スチロールから切り出されたのが、一番右側の水色の幹です。つまり、CGの中にあった木が、データを介して現実の展示物になったというわけです。

しかも、今回この虫がとまりそうなほど精巧な木の幹を作ったのは、造形作家の末次 健二さん。
実は大窪と末次さんは、CGと造形物を行き来しながら制作するのは今回が初めてではありません。

以前、Dole Japan「もったいないバナナSTORY」 でも、大窪が作った主人公のバナナの3DCGデータをもとに、末次さんが撮影用の造作バナナを制作していました。

(「もったいないバナナSTORY」をご覧になった方は、「え? 造作のバナナなんて、どこに映ってた?」と思いますよね😁実は、本物と見分けがつかないほど精巧につくられていた造作バナナがほとんど映っていたんですね〜。この撮影の裏側はPodcast #191でもお話ししていますので、気になる方はぜひ!)

そして今回は、そのタッグが「バナナ」から「木の幹」へ。
大窪がCGで形をつくり、末次さんが現実の立体物として形にする。
CGとリアルな造形物を行き来しながら培ってきた2人のものづくりが、今回の「じめんスケスケ」にも生かされています。

◾️CG映像と本物の木が、ピッタリ重なる!? 実は隠れモグラも!

「じめんスケスケ」で大窪が苦労したポイントのひとつが、細い根に共生する菌根菌のネットワークをCGで表現すること。

地面の下に複雑に張り巡らされた細い根や菌糸を描こうとすると、それだけCGの情報量も膨大になります。細部までつくり込めばつくり込むほど、パソコンへの負荷も大きくなるため、そのバランスを取りながらの制作は大変だったんだそう💦

そして、もうひとつ会場で注目してほしいのが、中央にある実物の木の幹と、CG映像の中に登場する木の幹の動きです。

よ〜く見てみると……

実物とCGの木、まったく同じように回っているんです!

これは偶然ではありません。

中央の立体造形と両サイドのCG映像がひとつながりの世界に見えるよう、大窪がCG映像の回転速度を立体造形とピッタリ合わせ、CGと実物の木が同じ角度に見えるよう細かく調整しているんです!

リアルな造形物とCG映像という、まったく異なるものを違和感なくつなぎ合わせる。何気なく見ていると気づかない部分にまで、CG Designerならではの細かな仕事が隠されているのです。

そして、さらに映像をじ〜っくり見ていると……

実は、地面の下にモグラが隠れています👀
「隠れミッキー」ならぬ、「隠れモグラ」

会場を訪れた際は、地面の下に広がる知られざる世界を楽しみながら、ぜひモグラも探してみてくださいね♪

 


 

最後に

前後編にわたって、『スケスケ展』誕生のきっかけから『スケスケ展2』の企画・制作の舞台裏、そして実際に制作している人々の頭の中まで、スケスケにしてきました!最後まで長文をお読みいただいた皆様、本当にありがとうございます🙏

この記事を通して、『スケスケ展2』のコンテンツはもちろん、企画展をつくる仕事や、その舞台裏にも興味を持っていただけたら嬉しいです。

来場者5万人を突破した『スケスケ展2』は、FUJIなごや科学館(名古屋市科学館)でシルバーウィークの9/23まで開催中

記事で紹介した制作陣のこだわりや、細かな仕掛けにも注目しながら、ぜひ会場で「スケスケ」の世界を体験してみてくださいね👀



<関連リンク>
▽「スケスケ展2−スケると見える仕組みの世界−」公式サイト

「スケスケ展2−スケると見える仕組みの世界−」KOO-KI WORKS


<Podcast>
#209 なぜ『スケスケ展』は生まれたのか?子供も大人も夢中にさせる“企画“の秘密【前篇】/D.白川東一&P.小澤利男
#210 『スケスケ展2』はどう進化した?「知らなかった!」を形にする体験展示の企画術とは?【中篇】/D.白川東一&P.小澤利男
#211 展示設営は段取りが命!?『スケスケ展2』設営の裏側【後篇】/D.白川東一&P.小澤利男