KOO-KI TOPICS - 【CM演出の裏側】JR西日本の最新webCMで、KOO-KI木綿が使った演出術とは?

【CM演出の裏側】JR西日本の最新webCMで、KOO-KI木綿が使った演出術とは?

KOO-KI木綿が演出したJR西日本のインバウンド向け最新webCM「Easy going, HAKATA」は、公開直後からCMソングに起用されたVtuber KMNZ(ケモノズ)のファンを中心にSNSで話題になっています。

「JR西日本×KMNZのコラボ嬉しい!」
「CMセンス良い!」
「単純に映像がいい」
「旅にでたい」
などなど、映像を観た方からの本音が垣間見れるとは、ありがたい時代ですね。

さてこの映像、実はKOO-KI木綿のたくさんの演出術が散りばめられているんです。どこにそのひと工夫が隠されているのか、まずはwebCMをコチラよりごらんください。

何かお気づきになりましたか❓
それでは、これからたくさんの演出術の一部をご紹介していきます。



お洒落なコピー・書体も演出の一つ

webCMのタイトルにもなっている「Easy going, HAKATA」。
こちらのコピーは木綿が考えた言葉で、博多へ「気楽にいこうよ!」という意味と、距離的にも「気軽に行けるよ!」という2つの意味を持つ英語なんだとか。お洒落な筆文字も木綿の手描き文字。コピーと書体が違和感なくマッチしている理由が分かりますね。

今では海外に単身で営業に行くなど、英語が堪能な木綿。しかし本当は、1ヶ月間セブ島でみっちり英会話合宿に行ったり、仕事の合間にネイティブイングリッシュを学ぶため英会話の個人レッスンを受けたり、涙ぐましい努力の賜物だったりするんですよ。


HDRIの手法を取り入れたハイクオリティな映像美

このwebCMを見て「なんて素敵な景色。旅したくなるなぁ〜」なんて思いませんでしたか?実はそこには、そう思わせるための演出テクニックが隠されていました。

今回のターゲットは関西エリアに訪日する外国人旅行客。中でも日本での滞在期間が長いヨーロッパ方面からの外国人旅行客向けに、気軽に九州・博多まで足を伸ばして欲しいという思いで映像を制作しました。

青い瞳をもつ白人は黒い瞳を持つ日本人より色彩感覚が鋭いと言われています。そこで、今回の映像は白人のターゲットにも美しいと思ってもらえる映像をめざそうと、HDRIの考え方を映像にも取り入れています。

※HDRIとは、(ハイダイナミックレンジイメージング)の略称で、明るさの異なる複数の場面を合成することで、逆光や暗い室内での撮影もより自然でリアルな描写を可能にした高画質技術です。カメラで暗い室内を撮影したら、窓の外が明るすぎて白とびした経験はありませんか?(最近のスマホカメラにはHDR機能が付いてますが。)HDRIは実際に人の目で見る現実の映像に近い色彩表現とも言われています。

それでは、実際にHDRIの手法を取り入れたシーンの一部ご紹介します。↓

この夜のシーンを普通に撮ると、ビルの壁面が黒つぶれしたり、照明が白とびしたりします。

そこで、今回は同じアングルで露出を変えて映像を複数撮影し、実際に目で見る映像に近いキレイな部分だけを切り取って合成しています。
つまり、通常の撮影の何倍も時間をかけて、編集にも何倍も手間をかけて作ったシーンだったんです。
純粋にキレイだなぁと思ってもらえる映像の裏には、そう気づいてもらえるための技(演出)が隠されていたんですね。

↓以下は今回の絵コンテ。HDRIの文字がしっかり明記されています。全シーンにHDRIの技術を取り入れるのではなく、効果的な部分だけにHDRIの技術を使っています。

 

音楽に実際の音を重ねてライブ感を演出

博多といえば「屋台」に「博多美人」。
↓このシーンで博多に行きたいと心を鷲掴みされた男性もいらっしゃったのでは?

この場面ではKMNZの音楽にプラスして、屋台で撮影した際の生の声、さらにはKMNZの2人のガヤも録音して重ねる事で、楽しそうなライブ感を演出してるんです!!
このシーンを見ていると、確かにワクワクしてきて屋台で一杯飲みたくなるから不思議ですね。

 

自然すぎて気づかない光の演出

JR西日本のwebCMだから、電車の中で当然撮影できたのだと思っていたら大間違い!
もちろん、車両基地に停まっている新幹線の中での撮影です。

実際は動いていないのに、新幹線が動いているようにみせるためには、光の演出は欠かせません。
車窓から見える景色は白くとばしつつも、座席に映る光は移動していく…。
雨の中、車体の外で照明さんがタイミングを合わせて走っていたというのは言うまでもありませんね。

 

便利な技術は社内で共有

冒頭の地球のリアルな映像。世界中から関西に飛行機が飛んでくるシーンですが、こちらはVideo Copilot (ビデオコパイロット) のプラグインを使っています。便利なソフトを活用する事で、効率的にハイクオリティな映像を実現しています。

KOO-KIでは月1回開催される完パケ発表会というミーティングで、自分が関わった作品の紹介と、映像制作に使ったソフトや演出テクニックを社内で共有しています。
映像Directorは個人で活躍される人も多いですが、KOO-KIではDirector同士の横のつながりを大事にする事で、会社全体のレベルアップにもつなげています。

 

グッと人の心をつかむ映像には、普通に見えていても実は数々の工夫が施されている。
そんなKOO-KI木綿の涙ぐましい努力(演出術)を、今回は少しおひろめさせて頂きました。

 

<編集後記>

実は超多忙な木綿さん。Directorとして全国各地を飛び回りつつも、KOO-KIの代表としての仕事もこなす、選手兼監督というスゴイ人。今回はたまたま福岡でCM撮影をするという情報を聞きつけ、こんな絶好な機会はなかなかナイ!と、広報担当の私(ヒージャー)も撮影ロケ地に一部同行させていただきましたよ!

ロケ地の柳川に到着して最初に教えてもらったのが、このカメラを設置して水平移動させるカメラスライダー。↓

大きな黒い箱と黒いバーは何に使うのかマジマジと見ていたところ、
「自然な寄りもできるし。これが良いのよ〜。」とニコニコ顔で教えてくれる木綿さん。
手際よく動くスタッフの中、終始にこやかな雰囲気で佇んでいましたよ。

撮影本番前になにやら考えている感じの木綿さん。あ!この感じどこかで見た!

↑(左)今回のロケ地で佇む木綿さん。 (右)2018年の映画「めんたいぴりり」撮影時にセット内で佇む江口さん。
Directorは撮影前、考える時は必ずポッケに手をつっこむものなんでしょうか!?
若干、声をかけられない雰囲気も同じでしたよ。この疑問は今後も追いかけていきたいと思います。

その他、こんな不思議な光景も発見!

ロケ地として使用させて頂いたのは、柳川の文化財でもある料亭旅館「御花」。今回撮影した「御花のさげもん」が飾られている広間のずいぶん外に、照明が設置されていました。遠いなぁ〜、コレ光届いてる?と内心思っていたのですが、映像で見るとこの照明がしっかり効いてるんだなぁと関心。そう言えば、この日は小雨が降る最悪のコンディションでした!

★「御花のさげもん」(つるし雛)の展示はひな祭りの時期だけの期間限定。今年は新型コロナウィルスの影響でイベントは中止のようですが、展示は4月中旬まで開催されているようなので、宜しければぜひご覧ください。
因みに、つるし雛の風習は全国でも珍しく、柳川のさげもんは「全国三大吊るし飾り」の一つとしても有名な由緒あるつるし飾りなんだとか。さげもん飾りの一つ一つに込められた意味など、詳しくは「御花」の公式サイトをぜひ覗いてみてくださいね。


↑唐辛子は「可愛い娘に悪い虫がつかないように」という意味があるそうですよ。WW

 

つづいて、有田に移動。シーズンではないため街は閑散としていましたが、ビュンビュン車が通っていたのが不思議でした。有田焼が全国に運ばれているのかな。


↑小雨の降る中、演技指導をする木綿さん。フランス人のモデルさんのドアを開けるしぐさが何か不自然だったようです。因みに、この後のシーンで急遽お客さん役で私がうっすら映り込む場面があるのですが、何度もダメ出しされました。(自然って難しい!)

今回は柳川と有田のほんの一部のシーンで早朝から夕方まで、ロケバスに同行させてもらいました。今後も機会があえばKOO-KIのDirector陣の演出術を発見して皆様にご紹介していきたいと思いますので、乞うご期待ください!

<関連リンク>
KOO-KI WORKS「Easy going, HAKATA」
木綿達史の最新WORKS